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25/05/22()00:24:40No.1315208262

少しこの特異点も物騒になってきた気がする

まーちゃんの接待を終え、恍惚とした気分に浸っていた帰路

遠くから聞こえてくる消防車のサイレン音が気持ちを打ち消す

ニュースを見ると首ライダーによる無差別殺人まで起きていて

なんだろう、あのホストクラブの中だけが別世界の様にも思える

今日は明るい内に遊びに来たから出て来た時はまだ黄昏時で

ジジ、ジジッ…と公園の街灯が点く直前だった

(けどここの一角、確か切れかけてるんだよね…)

遠目に何度か明滅しているのは周囲の薄暗さも相まって不気味で

さっさと走り抜けてしまおうと思っていたのだが

明滅を繰り返す該当の側に設置されたベンチ

いつの間にかそこにふんぞり返っている金髪のサーヴァントが居た

(あれ、ばらきーだ)

知らない顔では無かったが違和感があった

大体不機嫌か、不遜に笑っているか、子供達と遊んでいるのを見ていた

 

 

 

25/05/22()00:24:58No.1315208353

だがこちらを見ている彼女は無表情で

けれど姫の方からまるで視線を外さないのだ

(んん~?姫また何かやっちゃいました?)

まあそもそも心辺りはある。何か刺さったのかもしれない

やだな茨木童子相手だと物理的な炎上もあり得るじゃん

そうは思いつつもとりあえず会話を試みる事にした

「こんばんはばらきー。どうしたのこんな所で一人で」

「おお。いや何。ヤボ用でな、汝はホストクラブからの帰りか?」

「そうそう。良く分かったね」

「クハハ、匂いで分かるわ」

笑いはしたけどやっぱりそうだ。何だろう?圧を感じる

藪を突かない様にさっさと退散してしまおうか

そう思っていた姫の頭上で、目前にあった雑居ビルが…爆ぜる

「ひっ!?」

煙と炎を上げるそちらを眺め、そしてばらきーに視線を戻す

 

 

 

25/05/22()00:25:14No.1315208474

彼女もまたビルを見ていた、がその目は冷めていた

驚くでもはしゃぐでもなくただ結果だけを見ているだけの視線

…怖い

そう思ったのを感づいたかのようにぎょろり、と視線がこちらを向く

「…っ」

だが彼女の視線が見ていたのは姫の背後

「終わったぞ」

「え、あれ?小太郎君?」

「うむ。首尾は?」

姫を間に挟んで茨木童子と風魔小太郎の会話が始まる

「見ての通りだ。破壊工作は可能、だが貴様の報告通り

表層を剥がす手段がない限り特異点そのものに影響は与えないだろう」

「で、あろうな。緑の人もボヤは起こせたがそれまでと言うておったわ」

「ロビン殿はマシュ殿達と一緒だったか…

それはそうと、彼女に知らせるのが少し早すぎたのでは?」

 

 

 

25/05/22()00:25:28No.1315208566

「魔酒か。それを言われると痛い、吾反省

よもやいきなりホストクラブを襲撃するとは思わなんだ

クソ、失策よ。魔酒が出張れば当然リリスが出てくるのは避けられまい」

頭をボリボリと搔いていたばらきーだったけどその手が離れて火が灯る

連日のサイレンの音。ビルの爆発。大江山の首魁、ああ、そっかこれ威圧感だ

「これ以上はしくじれぬな…走れ、叢原火」

避ける暇さえあればこそ

姫の足元で宝具が発動時、アスファルトを穿つ

「あ…ぁ…ぇ…?」

もうもうと煙を上げるその下から見えてきたのは

地面などでは無く、おどろおどろしい肉が蠢く姿

「ご覧の通りです、刑部姫殿。この特異点の種は割れた」

「うむ。そしてマスターを助けるのに汝のASMRの力が…おっとぉ」

しょわわわ… あったかい ばらきーの話と目の前の光景は半分位入っていなかった

 

 

 

25/05/22()00:25:55No.1315208694

「…大体事情は分かった」

特異点によるマスターへの認識改変と浸食

ホストクラブ周辺からの移動制限に

推しとはいえサーヴァント達の過剰な接待要望…言われれば思い当たるフシがある

「けど、何でそこで姫のASMRが出てくるの?」

モリアーティのバーを模したお店へと移動した後当然の疑問を伝える

姫の失禁についてばらきーと小太郎君は深く追求しなかったが

お陰でまた姫のトラウマが増えた。いっそ笑って欲しい

「この特異点へ来てから増幅した欲で暴走するサーヴァントは数多居る

だが刑部姫。サークル八天堂の作品傾向は我も知っている

だから初期作品のあれは汝の元々の癖であろう」

「現在進行形で姫の疵を増やさないでくれる?」

改めて冷静になると、いくら何でもまーちゃんもカルデア側も

あんなプレイを一切止めずにしかも流通させてるのもおかしかった

「だがそれが今は一筋の光明なのだよ」

 

 

 

25/05/22()00:26:12No.1315208778

グラスを磨いていたモリアーティが

側においてあったフルーツに楊枝を一本突き刺す

「この特異点において、マスターをホストにしている主な要素は

あのホストクラブに縛り付け行動させている要素はなんだと思うね?」

働く必要あるから、お金を稼ぐ必要があるから。特異点の解決

でもこの辺りはきっと、ただの目的だ

「推して、指名をしている事?」

「ご名答。強い推しへの執着。これが結果的にマスターを特異点に縫い付けている

ホストとして、自らを指名してくれている相手にはその熱意に応えねばならない

彼らしく全力でね。それがサーヴァントを狂わせ、欲を増大させ、特異点の糧となる」

「だが一方で、汝の作り出した疑似的にホストクラブを

そしてマスターのサービスを体験できる作品群は多くのサーヴァントを魅了した

これはカルデアに居る者も含めてな」

え、姫それは聞いてないんだけど?

「つまりマスターの代替えが効けば執着が薄れ指名が減り拘束が薄れるんだヨ」

 

 

 

25/05/22()00:27:11No.1315209084

「刑部姫殿。ASMRの新作を出し続けて下さい

我々も協力し、客達の個人的なサービスを収拾して報告します

自分だけのもので無くなれば特別感も薄れていく

貴方の生来の色欲が結果的にマスターを救う事に繋がるんです」

「えぇ…」

「やるのだ。でなければ我等も共倒れよ

こればかりは吾のような破壊と略奪しか出来ぬ者には不可能だ

思うさまに創り、マスターに録らせ、脳を破壊せよ」

「壊してんじゃん!やるけどさ、まーちゃんは大丈夫なの?」

「スカサハ=スカディの話だとギリギリらしいけどなんとかなるだろうネ

なぁに、自分の役目に変わりが利くとなれば彼もいい加減目を覚ますだろうサ!」

 

 

 

25/05/22()00:27:23No.1315209125

他に道も無い。ただちょっと趣味に重圧が加わっただけ

妙な胸騒ぎを覚えたけど姫は新作に取り掛かる事にした。

 

 

 

25/05/22()00:28:44No.1315209497

この緩さ良くない癖が付いちゃってない?

 

 

 

25/05/22()00:30:51No.1315210087

おっきーも解決編組に加わったか

 

 

 

25/05/22()00:32:55No.1315210632

真面目な話だわ久しぶりに漏らさないおっきーが見れ

だめだったわ

 

 

 

25/05/22()00:35:08No.1315211309

>貴方の生来の色欲が結果的にマスターを救う事に繋がるんです」

ダメだった

おっきーのドスケベな性癖が世界を救うと信じて!

 

 

 

25/05/22()00:37:30No.1315211948

マシュはマスターの専門家なんだからASMRのテスターでもさせておかないと

逆に突っ込んでって即座に反応したリリスと殺し合いになっちゃう…

 

 

 

25/05/22()00:38:07No.1315212107

これ事態解決後に皆の記憶消えるとか無いと

性癖に刻まれた傷はそのままなんじゃ…

 

 

 

25/05/22()00:39:48No.1315212518

>なぁに、自分の役目に変わりが利くとなれば彼もいい加減目を覚ますだろうサ!

大丈夫?変なトラウマ刺激したりしない?

 

 

 

25/05/22()00:42:07No.1315213195

>大丈夫?変なトラウマ刺激したりしない?

アラフィフはそういうミス…する

 

 

 

 

 

25/05/22()00:48:00No.1315214693

>なぁに、自分の役目に変わりが利くとなれば彼もいい加減目を覚ますだろう

あぁマスター!良かったな!替えが用意出来たからこれからは休んでていいぞ!

って言ってくる庭があったよね

 

 

 

25/05/22()00:50:00No.1315215158

>>なぁに、自分の役目に変わりが利くとなれば彼もいい加減目を覚ますだろう

>あぁマスター!良かったな!替えが用意出来たからこれからは休んでていいぞ!

>って言ってくる庭があったよね

おや?丁度庭を使った張本人が同僚に居ますね

 

 

 

25/05/22()00:53:20No.1315215982

>>>なぁに、自分の役目に変わりが利くとなれば彼もいい加減目を覚ますだろう

>>あぁマスター!良かったな!替えが用意出来たからこれからは休んでていいぞ!

>>って言ってくる庭があったよね

>おや?丁度庭を使った張本人が同僚に居ますね

天然ホス狂い妖精バーヴァン・シー…

 

 

 

25/05/23()00:31:06No.1315527495

まっずい

収録を終え、マスターと別れた後…姫は驚愕と畏怖していた

ホストとして客を満足させ売り上げを伸ばすのが目的の特異点…

だがその実ここは世界そのものが胃の様な存在であり

マスターは取り込まれ、欲望の収集器として聖杯の様な存在になりかけている

彼の接待で影響を受けたサーヴァントはのめり込み

推しへの執着そのものがまーちゃんを特異点へと縫い付ける

その被害はカルデアにも及びダヴィンチちゃんも自作の哺乳瓶を作る始末

が、影響を受けにくい混沌・悪属性のサーヴァントを筆頭に

一応の解決策もまた発見された

それが姫の制作しているASMRだ

特異点に来る前からの純粋な姫の性癖と色欲で制作された結果

独立した存在にも関わらずシチュエーションボイスとして機能し

こちらに客達を夢中にさせる事によりマスターの影響力を減らし

特異点から引き剥がす可能性のある対抗策として新作を作り続けている

 

 

 

25/05/23()00:31:19No.1315527575

そして、同時に行われていたのがメタトロンによる

マスターのホストとしての権能の剥奪だった

早い話が、女誑としての技能の低下と倫理観の復活

そうなれば残るのは相手を受け入れ、自らの背丈で足掻き

挫けずに前へ進もうとするいつものまーちゃんが戻って来た訳だ

とはいえ認識阻害は解けておらず直向きにホストを続けている

そしてそれは、ホストである事との全てを否定してはいない

「ごめんね。おっかしいな前はこんなんじゃなかったと思うんだけど…

もう一回いいかなおっきー、やらせて欲しい」

…要は、刺さる客には刺さるのだ

元々こうだったはずだ。なのに妙にまーちゃんがノリノリだったせいで

妙な扉を開かれて戻れない子が増えちゃっただけで

だから確かに執着は目減りし、サークル八天堂による

「以前のホストとしてのまーちゃん」へのニーズが得られた一方

直向きに努力する応援したい系ホストとしての新規顧客が発生してしまった

 

 

 

25/05/23()00:31:29No.1315527632

そして元々そういう面が好きだったものにとっては

そうそうこれよこれ!という様に執着が増した。マジかよ

それでも爆サバ等は炎上しており

天蓋に一切乗って来なくなったとか、店側の締め付けの影響だとか

新たなる抜け道を探せとか姫路城を燃やせとか物騒になっている

幸いな事にASMRの収録は相変わらずこなしてくれている

ただ、そこに「羞恥心」が加わった

演技にとってはマイナスだが性癖としては興奮材料にしかならない

アレだ。プロに対する素人物のそれ

自分で書いている脚本なのに刺激が産まれたせいで滞ってしまった

ごめんね、まーちゃん。でもまーちゃんが悪いんだよ…

ついでに言うと今までかけて来た甘い言葉とか

やってきたサービスなんかはきっちり覚えているらしい

…本当にこれ、大丈夫?けどこの辺りはリリス達に任せるしかない

 

 

 

25/05/23()00:31:56No.1315527739

「火炙りか、もしくは水浸しだな」

「燃やすだけでは飽き足らず、という事か?茨木童子」

「否。攻め手は複数用意すべきであろうよ

幸いこちらにはテノチティトランがいる。奴のトラロックとしての権能

あれで水場になればこちらには略奪を得手とする水軍がおろう」

「海賊の方々か…随分と此度は頭が回る」

対策本部と化したモリアーティのバーでは小太郎君とばらきーが話していた

未だにばらきーが主導しているのは面白い

いや、鬼種も他がまとめなければ滅ぶから纏め上げていたらしいし

そういう意味では、こういう時でもないと率先しては動かないのだろう

「略奪、となれば吾の他にはあれら以上の適任はおるまいよ

吾等と同じなら特異点の影響も防げるし、何より吾は一度失敗している

確率を上げるのであれば良いが…あの女海賊の二人組は逆に相性が良すぎるか」

「そうだネ。奪ったは良いがマスターごと懐に、なんてシャレにもならない」

「まあ、後は船上なれば本性を現した此の地にすぐさま熔かされる事もあるまい」

 

 

 

25/05/23()00:32:08No.1315527785

「ただいま。盛り上がってるね」

「あっ、おかえりなさい刑部姫さん!新作の売り上げも絶好調ですね!」

イヤホンを外したマシュちゃんが話し掛けて来た

マスターの専門家である彼女がいれば自分の性癖だけでない意見も入れて貰える

実用性に関しては恥ずかしがっている事も多いが

普段こういう音声を聞かない子だからこそ忌憚のないアイディアもくれるのだ

マスターの様子についてはその場にいた皆に共有

特異点との剥離は進んでいるがまだ時間がかかりそうという見解で一致した

とはいえ準備は進めなくてはならない

「後はそうだネ、マスターに令呪を使われる危険性を考慮しなくては

カルデアの令呪には強制力はないものの、懸念事項は潰すべきだヨ」

「それについては姫に任して欲しい」

「刑部姫さん…?」

「経験はあるし、プレイに乗じて姫が重ねて命じて貰って深アクメする!」

おお、と店内がざわついた

 

 

 

25/05/23()00:32:35No.1315527900

これ半分はドン引いてるわ。マチュちゃんも酷い顔で硬直してるし

やめてばらきー。そういう哀れみの目を向けないで

「すみません刑部姫さん…代われるものなら私が担当したいのですが…」

「いや、現状のマスターへの関係性を含めれば適任だネ

だが彼が正気に戻った時にはすぐさま決戦になる可能性が高い

令呪が補充される日付前、指名を利用して先に行動を移しておくべきだよ」

おや…?

「成程な。刑部姫、よもやそこまでの覚悟とは…」

「恐れ入ります、刑部姫殿」

「待って?姫まだ理解が追い付いてないんだけど」

困惑した姫の様子にばらきーがモリアーティを見て、目をそらされ

他の二人の様子を見てから苦虫を嚙み潰したような顔でこちらを見る

「略奪の要は阿吽の呼吸よ。鬼はともかく、吾等サーヴァントにはそれが可能だ」

「うん」

 

 

 

25/05/23()00:33:25No.1315528088

「故に、マスターと汝のプレイを突入班は皆でモニタリングし、聞いておく」

「うん。え?」

「そして深イキアクメを合図に店内に突入。あれを奪還する」

「…成程」

羞恥プレイも上乗せですか、と

刑部姫史上かつてない絶頂になる事は間違いない

決意は固まり

…姫は静かに興奮していた。

 

 

 

25/05/23()00:34:26No.1315528358

>刑部姫史上かつてない絶頂になる事は間違いない

何言ってんだこいつ

 

 

 

25/05/23()00:39:10No.1315529663

努力は認めたいがこいつマジ…という気持ちも同時に湧く!

 

 

 

25/05/23()00:42:02No.1315530380

>決意は固まり

うん

>…姫は静かに興奮していた。

だめだ

 

 

 

25/05/23()00:46:28No.1315531502

マシュはマスターに令呪アクメさせられるおっきーの様子を聞いて大丈夫?

 

 

 

25/05/23()00:46:52No.1315531607

周り皆真剣になってるのに何でおっきーはさあ…

 

 

 

25/05/23()00:50:55No.1315532548

>周り皆真剣になってるのに何でおっきーはさあ…

真剣ではあるだろう

自分の性癖に

 

 

 

25/05/23()00:48:28No.1315531995

古参ファンと新規ファンで解釈というか性癖争いが勃発しそう

 

 

 

25/05/23()00:54:34No.1315533461

ばらきーまで頭捻ってる中で厄介な事に本当に有効そうなのがムカつく

テノちの水場じゃ流石にお船浮かばせるのもちときついか?水深あっても障害物で移動がなあ

 

 

 

25/05/23()01:03:24No.1315535366

>ばらきーまで頭捻ってる中で厄介な事に本当に有効そうなのがムカつく

>テノちの水場じゃ流石にお船浮かばせるのもちときついか?水深あっても障害物で移動がなあ

話は聞かせてもらいました

主の御業によって罪の都を一度沈めましょう

 

 

 

25/05/23()01:27:22No.1315539824

思ったより影響出てないな?と指名しに行って沈むメタトロン

アリだと思います

 

 

 

25/05/23()02:14:49No.1315545538

頭の回るバラキー久しぶりに見た

 

 

 

25/05/23()02:20:21No.1315546062

首魁は強く…知恵を巡らせ…決して殺されない者でなければ

茨木童子は本当に優れたお方…酒呑がいるから滅多にそっちの顔出さないけど

 

 

 

25/05/23()06:33:28No.1315556781

最終決戦が酷いBGMになることが確定してしまった…