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20/05/31()01:30:17No.694855517

ああ、やはり来るんじゃなかったかもしれない。

 

集団生活は苦手だ。全く自慢にもならないが。

というより、経験がない。授業もほぼ通信教育化していた秋葉原では、同世代の人間と同じ空間で過ごす機会がなかったからだ。

その事情を知ってか知らずか、他のサーヴァントたちは私によくしてくれるけれど、気を遣わせていることが判って、また恐縮してしまう。

 

 

 

20/05/31()01:30:33No.694855610

性に合わないのは事実だが、これ以上迷惑はかけられない。いい加減慣れなくては。

だが──

これも立派なサーヴァントになるために必要なことなのか。

「…これ、私じゃなきゃ駄目なのかな。副業がてらに商売人とか情報屋をやってた英霊も知ってるから言わせてもらうけど、どう考えても私はそういうの向きじゃないよね…

っていうか、別にこんな三流の魔術用品店擬きにスキルが要るとは思えないんだけど」

「もー、エリセはわかってないなー。エリセがやるから意味があるんだよ?」

いや違う、絶対違う。さすがにそれはわかる。

 

 

 

20/05/31()01:31:05No.694855786

めでたく我がマスターとなったこの少女からの最初の命令が、雑貨屋の店番とは。

「なにそれ…全然意味わかんないよ…」

「いやいや、何事も経験だよ?先輩が言うんだから間違いないって」

「先輩?貴女が、私の?」

まあ、カルデア職員としての経歴もマスターの経験も、私では彼女に及ばないだろうけど。

…いや、これはお姉さん風を吹かせたいだけだ。ふにゃふにゃしているように見えて、ここぞというときには押しが強い彼女に、私は早速逆らえなくなっていた。

 

 

 

20/05/31()01:31:27No.694855925

「いいからいいから。とりあえずやってみよ?」

「…どーも…」

「…んー、エリセらしくはあるけど、もう一声欲しいかなー。

もう一回行ってみよー。今度はもっと元気よくやってみて?」

「…いら…ら…いらっしゃり…っしゃーせー!」

なんだこれは。日本語か。ほんとに挨拶になってるのか。

だというのに、この人は怒るどころかはしゃぐ始末だ。

「うーん、かわいい。私の判断は間違ってなかったね…」

 

 

 

20/05/31()01:31:43No.694856015

「ああ、もう…向いてない、向いてない…!絶対無理だって…!

ねえ、やっぱり考え直して──」

「あっ、もう行かないと。じゃあね、頑張ってー!」

「あっ、ちょっと待って!ねえ!」

私の制止など意に介さずに、彼女は足早に去っていった。

ああ、やはり来るんじゃなかったかもしれない。

 

 

 

20/05/31()01:32:05No.694856106

「…疲れた…」

同じ時間だけ戦闘をしていた方が、まだ疲れなかったかもしれない。慣れないことがこれほど体に来るとは。

だが、意外に虚無感は覚えなかった。たくさんの英霊と話せて嬉しかったのも事実だ。結構仲良くなれた人もそれなりにいた、と思う。

きっと彼女なりの配慮だったのだろう。私にサーヴァント達を、サーヴァント達に私を紹介するために。私が英霊に思い入れのあることを、きっと彼女はわかっていたのだ。

 

だから、まあそんなに悪くはなかった。感謝はしている。

けれどただひとつだけ、いや、むしろたくさんの人に会ったからこそ、満たされないことがある。

──彼がいないことが、こんなにも堪えるだなんて。

 

 

 

20/05/31()01:32:21No.694856190

遊戯界で仮初めの主従となっていたときの、彼と彼女を思い出す。

あのときの彼は、随分と楽しそうだった。元々好奇心の強い子ではあったけれど、会ったばかりの相手にあれほど好意的な態度を示すのは、彼女の人徳の為せる技だろう。

私にも同じことをしているのだから、新人に対して懇切丁寧な説明を施しているだけだということはわかっている。けれど、あの人と彼が一緒に、仲睦まじそうに話していたのを思い出すと、自分は同じように彼を喜ばせられただろうかと考えてしまう。

 

「…駄目、もう私は変わったんだ」

後ろ向きな考えは捨てなくては。何のためにここまで来たんだ。

今日はもう休もう。一度眠れば、気持ちも切り替わるかもしれない。

 

 

 

20/05/31()01:32:43No.694856299

「──貴女が私の絶望の、何を知るというのです」

そうだ。私はなにも知らない。

でも違うの。例えその苦しみを理解できなくとも、あなたを生かしたいと思っているのは変わらない。

だって、出会えたことは、運命を変えられる可能性は、紛れもない奇跡なのだから──

「自分の望みと善意を履き違えるな。お前は、正義の味方になりたがっている」

ああ、そうだよ。

私はなにも知らない。ただ、必要としてほしかっただけ。

でも、あなたたちを救いたかった。殺したくなんて、なかった──

 

 

 

20/05/31()01:32:59No.694856375

跳ね起きた私の服は、寝汗でぐっしょりと濡れていた。

己の一番弱いところを、まざまざと見せつけられる。あのときと同じように。

もう、罰は欲していない。あれは私の意思でやったことなのだ。言い訳も、逃避もしない。

ただ、誰かのためを思ってしたことを、その人に拒絶されたということが、ひどく悲しいだけ。

 

駄目だね、私。

彼は時空を越えてまで私を助けに来てくれたのに、また躓いて下を向いて。

涙が滲みそうになる。なんて情けないんだ、私は。もう泣かないって、約束したのに。

 

でも──

さみしい。会いたい。

彼に、会いたい──

 

 

 

20/05/31()01:33:37No.694856573

「エリセ」

驚いたけれど、顔は上げなかった。なんだか、そんな気がしていたからだ。

私が困っているときは、いつも助けに来てくれる。今ここで彼を見たら、きっと我慢していた弱音を吐いてしまう。

「…なんで来たの」

拗ねた子供じみた振る舞いだと分かっていても、口が勝手に動いてしまう。

「私のことはもう大丈夫って思ったから、また旅に出たんでしょ。私に構わなくていいから、きみのやるべきことをやって」

同情はいらない。いや、私に同情される権利なんてない。

もう、彼は私のものじゃない。

私も、もう彼の「特別」ではないんじゃないか──

 

 

 

20/05/31()01:33:47No.694856619

「だいじょうぶ、エリセはちゃんとできてるよ。

ただ、ちょっとさみしくなっただけ」

「──ボイジャー」

思わぬ言葉に、顔を上げて彼を見た。

月を孕んだ雲のような優しい笑顔で、彼は微笑んでいた。

「かなしいのも、さみしいのも、にんげんだから、だよね。

エリセは、にんげんだよ?それって、はずかしいこと?」

甘えだと思っていた。きみに会いたいと願うのは。

きみの手を、これ以上煩わせたくなかったから。

でも、いいの?

会いたいと、そばにいてと、言ってもいいの?

 

 

 

20/05/31()01:34:29No.694856828

「…ごめんなさい、私…」

「あやまらないで。ぼくは、エリセにあいたかったから、ここにきた。

エリセは、どう?」

責務でも、同情でもない。

自分の心に従っただけ。

なら、私の望みは──

「…お願い、今日はもうどこにも行かないで。

ここにいて。私のそばにいて。今だけでいいから──」

 

華奢な彼の身体を抱いて、ベッドに横たわる。

ふわふわした髪が鼻に当たって少しだけくすぐったかったけれど、離れようとは思わなかった。

「おかえり、ボイジャー」

「うん、ただいま、エリセ」

 

 

 

20/05/31()01:34:40No.694856882

歌が聴こえる。波の音が聴こえる。

彼の見たものを、その旅路を、私も見ている。

大きな目玉の木星。

輪を纏った土星。

横倒しの天王星。

深い青色の海王星。

星たちに挨拶をしながら、彼は前に進んでゆく。

ふと振り返ってみると、自分の生まれた星は、もう青く小さな点になっていた。

「こんなにも遠くまで、旅をしたんだね」

「うん。でも、さみしくなんかないよ。

きっとまだ、みたことのないもの、であったことのないものが、たくさんまっているから」

彼は揺蕩う。満天の星の海を。

手を握って、星の王子様。

あなたの見たものを、もっと私も感じていたいから──

 

 

 

20/05/31()01:38:31No.694858225

期間内ならショップは小ぼいと大ぼいでエリちサンドされてるんですけどね!

 

 

 

20/05/31()01:41:48No.694859455

自己評価低くてめんどくさいエロ衣装ショタコンJCいいよね

 

 

 

20/05/31()01:46:18No.694860893

カウンセリングは済んだけどそれはそれとしてぼいくんは欲しい

 eri

 

 

20/05/31()01:49:58No.694861990

エリちは相変わらずめんどくさいね…

 

 

 

20/05/31()01:59:23No.694865114

エリちいいよね

意味もなくつつき回したい

 

 

 

20/05/31()02:00:51No.694865474

エリちめんど可愛いよね…

 

 

 

20/05/31()02:06:01No.694866738

こんなの読んだら無理にでもボイジャーを引かなきゃじゃんか!

 

 

 

20/05/31()02:06:35No.694866884

その痴女衣装もカレン先生リスペクトか

 

 

 

20/05/31()02:13:03No.694868431

ぼいくんとエリちを同じ部屋にぶちこみたい

 

 

 

20/05/31()02:17:04No.694869270

その頃大量のgoogleplayカードもしくはiTunesカードに埋もれたぐだが…

20/05/31()02:24:01No.694870550

>その頃大量のgoogleplayカードもしくはiTunesカードに埋もれたぐだが…

し、死んでる…