1581337797662


【FGO】「」シュ怪文書  しがふたりをわかつとも【DEADEND】


【FGO】「」シュ怪文書 先輩の思い出になってしまったマシュ【「」ウリ】



20/02/11(
)23:34:32No.662432571

「──マシュ、起きろマシュ!」

 思考を閉ざすうちに眠ってしまっていたのだろう。目を開けると、蒼白なムニエルさんの顔が目の前にあった。

「大変なことが起きた、すぐに来てくれ!」

 ぐいと無理やりなくらいに手をつかまれ、起こされる。片手で髪を直しながら部屋を出る瞬間にちらりと時計が目に入った。……先輩がカルデアを発ってから、まだ3時間しか経っていなかった。ぼんやりとした頭で、あの光景が夢であればいいなと思った。

 

「どうして……」

 ──夢ならどうかさめてほしい。

『死亡者は乗客二名、操縦士二名の計四名──』『全身を強く打ち即死──』『……事故とみて捜査を』

 食堂にあるテレビから流れるニュースに、私はへたりこんだ。死んだ。死んでしまった。先輩が、死んでしまった。ほんの数時間前……元気な姿で、ここを発ったばかりだというのに!

「先輩は──ようやく、ようやく、帰ることができたんですよ!」

 どうして死ななければならなかったんですか!

 ……泣き叫びながら、よかった、と思った。

 よかった。私は先輩の死に、憤ることができた。私を置いて行ったあの人の死を──喜べなくて、よかった。

 

 

 

20/02/11()23:35:13No.662432801

 あれから1週間経った。何も食べる気が起きなくて、けれど仕事があるから倒れるわけにもいかなくて、ブロック状の栄養補助食品を何とか水で流し込んでいる。……ぱさぱさとした触感が気持ち悪い。何も味がしない。レイシフトの時によく食べていたもののはずなのに。先輩の横で一緒に食べたときは、とてもおいしく感じたのに。

 

 ムニエルさんが控えめに私の部屋に入ってきた。

「……マシュ、あいつからの手紙だ」

 嘘だ。死者からの手紙なんてありえない。届くはずがない。ベッドに寝転がったまま、ムニエルさんの言葉に棘を返す。

「本当だよ。……あいつ、カルデアを出る前に手紙を書いてたんだ」

 それがさっき、遺品整理が済んでカルデアに届いた。私は勢いよく飛び起きる。差し出されたそれを取って、私は震える手で封筒に手をかけた。封をしていた赤い蝋は、熱で溶けて変な形に広がっていた。爪で取ろうとして上手く行かず、はやる気持を抑えながら封を切った。……中には数枚の白い便箋が入っていた。

 

『マシュへ

 「この手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないのでしょう。」』

      220/02/11()23:35:53No.662433020+

 見慣れた字だった。レポートやメモでたくさん見た、先輩の字。それだけで喉の奥がツンとした。

『ありふれた書き出しでごめん。でも、この手紙はそういう手紙です。万が一のとき、マシュに届くよう、頼んでおきます。

 届くといいな。届くようなことがない方がいいんだけど、もしかしたらさっくり死んでしまうかもしれないし。その時マシュを世界に置き去りにしてしまうから、念の為、残しておきます。』

 ──死を予感してるような文に、唇を噛む。

『……マシュがカルデアに残ると聞いて、正直、悩んだ。

 マシュはもう、もう一人の自分とも言えるぐらい大切な存在で、離ればなれになるのはとても辛かったから。できる事ならなるべく長く一緒にいたかった。

 ……それと同じくらい、マシュの選択を大事にしたい気持ちがありました。だから、誘いません。

 

 

 

20/02/11()23:36:32No.662433260

 「一緒に行こう」と言ったら、たぶん一緒に来てくれたよね。でも、そうすると、自分がマシュを一生離せなくなりそうで……マシュの一生を縛ってしまいそうで怖かった。だから、ごめん。一度お別れをしておきたかった。』

 ぽたりと涙が手紙を汚して、慌ててこする。こすったところでどうにもならないのに、私は私の涙で先輩の手紙が汚れるのが許せなかった。

『あの日、マシュと出会って始まった日々は、一生の思い出です。辛いことも苦しいこともあったけど、かけがえのない日々です。きっと死ぬまで忘れない。マシュのことも、マシュとした旅のことも。

 マシュにとって、あの旅がどんな思い出になるかはわからないけど……大切な思い出の一つになっていたら、とてもうれしい。』

 

 

 

20/02/11()23:37:17No.662433487

『もし気分転換をしたいなら、旅をおすすめします。

 たぶん、幻滅する部分も多くあって、もしかしたら「どうしてこんな世界救っちゃったんだろう」と思うかもしれない。

 ……自分なりに考えたけど、素晴らしい世界だから救ったんじゃなくて、自分が生まれ、生きた世界だから奪われたくなかったんだと思う。

 だから、マシュも、この世界を愛さなくてもいい。憎んでもいい。愛せなくて、憎んでしまっても、どうか自分を責めないで。

 それで、いつか、美しいものを見つけてほしい。』

 大切に、綺麗にしまっておこうと思っていたのに、手に力が入って端から便箋がくしゃくしゃになる。醜い嗚咽が止まらなくて、視界がどんどんぼやけていく。

『さいごにわがままを1つ言ってもいいかな。

 もし、これを読んでいるのが葬式の前だったら──、手を握りに来てほしい。

 死んでるから、固かったり冷たかったりして気持ち悪いかもしれないけど。マシュに手を握ってもらえたら、それがどんな末路でも、安らかに逝けるような気がする。』

 

 

 

20/02/11()23:37:45No.662433644

『今までありがとう、マシュ。置いていってごめんなさい。

 どうかマシュはマシュらしく、自分の人生を生きてください。そしていつかまた会ったとき、マシュの旅の話をしてもらえたら嬉しい。

 さようなら。またね。     あなたの先輩より』

 力が入らなくて、座り込む。床に落ちた手紙は、私が握って、涙で汚したせいでぐちゃぐちゃだった。……封筒から小さな音がした。

 封筒の中には、カルデア職員の制服の胸元についていた金具が入っていた。手紙の代わりに、私はそれを手の感覚がなくなるぐらい強く、強く握りしめて、そうして泣いた。

 ……1時間は泣いていた。死にたくなるほど悲しかったのに、泣き続けていたら涙は自然と止まった。頭は痛くて目も頬も熱い。そのうえ喉が渇いていた。生きているから仕方がない。泣いたぐらいで先輩と同じにはなれなかった。顔を上げるとムニエルさんはいなくて、机の上に未開封のミネラルウォーターのペットボトルが置いてあった。キャップを開けて飲み干す。喉は冷えたが、体は熱いままだった。ボトルをゴミ箱に捨てて、少しでも冷えるようにと早足で廊下を歩いて、執務室のドアを開いた。

 

 

 

20/02/11()23:38:36No.662433911

「あの、所長。私、休暇をいただきたいです」

 眉尻の下がった顔で、驚くようでもなく何故かを問われる。

「先輩のご両親に、ご挨拶をして……それから──少しだけ旅をしたいんです」

 手のひらの中の、先輩の残滓を握る。先輩がここにいた証。私と旅をした証。……先輩が私に残してくれたもの。

 泣き枯れた声が、帰ってくるのかねと小さく問うた。私ははい、と頷いた。

「ちゃんと帰ってきます。いつか、ちゃんとしたやりたいことが見つかるまでは──カルデアの職員を続けたいと思います。先輩と守った世界を──まだ、守りたいから」

 ……いってきなさい、と言われて、深く深く礼をした。しばらくそうして、行ってきます、と言って私は踵を返す。後ろ手に扉を閉めるとき、所長の鼻をすするような泣き声が聞こえたけど、聞こえないふりをした。

 

 ……さあ、荷物をまとめて、旅に出よう。

 私のいる世界にあなたが生きていなくても。

 私は、あなたと救った世界を知りたい。あなたが生きていた世界を、見てみたい。

 そしていつか、私から見たこの世界がどんなだったかを──先輩に伝えよう。

 

 

 

20/02/11()23:38:49No.662433965

エンド1-A

 

 

 

20/02/11()23:39:11No.662434077

おわり

「」シュ再起エンドです

 

 

 

20/02/11()23:39:42No.662434225

ノーマルエンドっぽい……

いややっぱりバッドエンドだよ!

 

 

 

20/02/11()23:40:08No.662434361

先輩も受肉サーヴァントも生き残るルートはないんですか!?

 

 

 

20/02/11()23:40:16No.662434405

辛いけどまだ前向きになれたから救いがあるな…

手紙無かったらどうなってたんですかね

 

 

 

20/02/11()23:40:50No.662434569

サーヴァントとがっちり手握り合ってる死体とご対面するのかなあ…

 

 

 

20/02/11()23:41:00No.662434613

今日も来やがったかカラスめ!

 

 

 

20/02/11()23:41:00No.662434615

おまけ


「」シュ:エンド1(アルジュナ差分)

■アルジュナ

 

 マシュを誘えばよかったかな。

 窓からもう見えなくなったカルデアの方を見つめてマスターがつぶやいた。

 私は、その隣で、横顔を見つめながら何も言えなかった。

 

 人理保障機関カルデアにおいて発された全てのオーダーは完遂された。

 世界は正しく動き始め、緩やかに日常がかえってきた。我らがマスター……人類最後のマスターとして戦ってきたマスターも、その任を解かれ、故郷に帰ることになった。

 サーヴァントの多くは退去したが、中には、カルデアに赴任する新たなマスターとの契約を待つ者や、カルデアという組織そのものをマスターとしてここでの仕事に従事することを決めた者、カルデアに協力するつもりではあるが、けじめとして一度退去し、新たな召喚を待つことに決めた者と、さまざまであった。

 ……死者の影である我々サーヴァントは、生者の介在なくして世界には関われない。多少の差異はあれど、ほとんどのサーヴァントはそういう認識を持っているだろう。

 かつて、既に、自らの時代を生きて世界に生きた証を刻んだもの。それが今を生きる人間を差し置いて世界を変えるなど、あってはならないことなのだから。

 

 

 ……私は、サーヴァント。使い魔であり、マスターの兵器。だから戦いが終われば、用済みの存在である。

 カルデアへの協力は惜しまない。これからも、飛沫のごとき、「揺り戻し」の特異点が発生する可能性はある。そのためならば、いくらでも使ってもらって構わないのだ。けれど──会えてよかったと、そう、何度口にしても尽きないほどの感情を持ってしまった。新しいマスターを迎えたとき、私は……きっと、今のマスターと、新しいマスターを比較してしまう。……そんな不誠実は、できない。したくなかった。

 だからマスターがカルデアを去る、それを最後にして、私は「今ここにいる私」の霊基を廃棄する。座に持ち帰った記録を、座の私がどうするかはわからない。だが私のことだ。きちんと整理して、次に召喚される私と新たなマスターに不要な禍根を残すような真似はしまい。……本当なら、記録ごと廃棄するべきなのだろうが、どうしても──どうしても私には、この旅の記録を、マスターとした旅の記録を棄てることなどできなかった。どれだけあさましくいやしい男と言われようと、この記録だけは、手放したくはなかったのだ。

 

 マスターの退去が数日後に決まった時のことだった。噛みしめる様に日々を過ごしていた私は、マスターと廊下で会った。

「その聖杯は……どうされたのですか、マスター?」

 手には聖杯があった。大聖杯未満の杯。訊くと、どうやら旅路の報酬としてもらったらしい。別に欲しかったわけじゃないんだけど、そう笑うマスター。

 なるほどと思った。通常、聖杯は聖杯戦争を行い、マスターとサーヴァントが戦って勝ち取る願望器。マスターが勝ち取ってきた聖杯のほとんどは魔力リソースとして、戦況を良くするための霊基強化素材として費やされてきた。つまりマスターが勝ち取ってきた聖杯は、カルデアの資産として使われてきたのである。戦いが終わり、マスターが帰る段階になって、ようやく聖杯戦争の勝者として正しく聖杯が与えられたということなのだろう。

「正直……持っていても仕方がないし、一人で勝ち取ったものじゃないから、欲しい人がいるならあげてしまうのも手かなって思ってるんだ」

 アルジュナ、これいる?

 冗談めかして言うマスターに、ご冗談を、私の願いはもう貴方もご存知のはず。そう言おうとして──欲が出た。サーヴァントとして、使い魔として己を律してきたはずの私には、信じられないほどの欲だった。どうしてそんなことを考えたのかはわからない。あるいは──半受肉状態という、生者と死者の間でふらふらするよう状態が、私の欲を育てたのかもしれない。

「私は──貴方と、共に在りたい」

 そう、最後まで。

 

 

「これ、急だよね。気を付けて」

「……はい。ありがとうございます」

 先にタラップを昇ったマスターが、差し出してくれた手を掴んだ。サーヴァントであればなんてことのない階段も、私には楽しかった。

 サーヴァントとしてのほとんどの力を失った。真の大聖杯であれば、私は戦士アルジュナのままで正者になれたのかもしれないが、マスターが得た聖杯に、それほどの力はなかった。今ここにいるのは、正真正銘、ただの人間アルジュナだった。

 狭い機内に二つしかない座席に隣合いながら座ると、短い館内放送のあと、離陸した。短いながらも小粋なトークに私とマスターは小さく笑った。人里から遠く離れたカルデアに、しかも極秘の便として遣わされたにもかかわらず、操縦士たちはまるで気にする風でもなく、たった二人の乗客にまで放送で語り掛ける。きっとマスターの寂寥をわずかながらに癒してくれようとしたのだろう。

 マスターは、見えなくなるまで、窓から手を振っていた。

 カルデアが豆粒ほどに小さくなって、そしてそれも見えなくなったころ、ようやく、マスターは手を下した。けれど視線は窓から離れず、ついにはひとりごちたのだった。

 見送りの際の彼女を思い出す。無垢であり続けた少女のことを。

 彼女がいれば、それはそれで、きっと楽しい旅になるだろう。それは私の、本心からの思いだった。

 

 

「……マスター」

 もう契約もなく、マスターとサーヴァントの関係でもないのに、私はそう呼んでいた。役職もなく、ただの■■として改めて名前を呼ぶのは……少し、気恥ずかしかったのだ。

 呼びかけると、今にも泣きだしそうな顔が振り向いた。

「アルジュナ……」

「……一時の別れです。二度と会えなくなるわけではありませんから」

 マスターは少し黙っていたが、袖で目元をぬぐって、そうだよね、と言った。

「落ち着いたら……今度はマシュに、故郷を案内したい」

「その時は私もお付き合いしましょう。ああ、それとも……二人きりにして差し上げた方が、よろしいですか?」

「アルジュナってば!」

 照れ隠しのように肩を小突かれて、私は笑った。これだ。こういうところが、とても好ましいのだ。

 今でこそ、私はマスターとともにここにいるが……少しでも何かが掛け違えば、ここにいたのは私ではない。きっと、私以外の誰とでも、マスターは旅に出るし、マスターの育った地を案内してくれる。それこそ、マシュ・キリエライトかもしれないし、また別の誰かかもしれない。ただ、ここにいるのは──このアルジュナ。それだけ。

 未来に思いをはせながら、着いてからのことを口にしようとし──私は、眉をひそめた。

 何か……何かが、私の胸をかきむしる。胸騒ぎがする。

 機体が大きく揺れた。機内放送にノイズが走る。二人の間に嫌な空気が流れた。……知っている気配がした。──死の気配だ。

『当機体は──……!』

 ……それは、間違いなく、絶望だった。

 

 

「──!」

 ……マスターの考えは手に取るように分かった。だから、怯えのはしった顔が、こらえる様に目を瞑り、何かを飲み込んだのを見て、その手に自らの手を重ねた。……もう令呪のない右手。魔力の痕跡すらない只人の手に、無力な人間の手を、重ねる。目を伏せ、首を振った。

「貴方を贄にしてまで──生きたくはありません」

 マスターは、深い息を吐いて、視線を落とした。

「……ごめん、巻き込んで」

「自分で選んだ結果です。悔いはありません」

「……そっか」

「はい。……どうか最期まで、貴方と共にいさせてください」

 神々からの祝福も、父からの祝福も、戦士としての誉れも。すべてを失って得た先にあるものがこれだとするなら、それはそれで良いように思えた。出会ったこと、それだけでさいわいだったと思える人との未来を選び、ただの人間として共に死ねるなら。その未来がどれだけ短いものであったとしても──私は、それを喜ぼう。

 機体が軋む。金属同士が擦れあう不愉快な音がそこかしこから聞こえた。

 マスターが小さく笑った。

 せめてマスターを守ろうとして、抱きしめるように手を伸ばし──轟音と熱が全てを閉ざした。

エンド1(アルジュナ差分)

しがふたりをわかつとも?

 

 

 

 

 

 頬をなでる熱い風に呻いた。

 温度を感じたとたん、五感がかえってくる。

「ぐ、う……」

 体が熱い、どこもかしこも痛い。それでも何とか立ち上がる。ひときわ熱い肩に手をやって、ぬるりとした感覚と激痛にそちらを見れば、抉られたような傷があって腕はだらりとぶら下がっていた。

 認識したことで痛みが強まった気がして、唇を噛んで声を殺す。油に引火したのか、ごうごうと音を立てる黒炎に目を炙られそうになって、身をかがめる。物が燃える音、何かが壊れる音が誰もいない山中に響く。──誰のうめき声も聞こえない。

「マスター……マスター! う、ぐっ、ごほっごほっ……」

 焼けた空気で呼吸がままならない。それでも、声を上げるのはやめたくなかった。

 ふらつく足で鉄くずの散った地面を歩く。……その間に、知らない顔の遺体があった。おそらくあの操縦士たちだ。呼吸や脈拍をとる必要はないと断じることができるような遺体だった。苦しむ間もない即死だったことが、唯一の希望だっただろう。

 それを後にして、私は歩く。失血で頭がぼうっとする。唇を噛み切って、むき出しの傷に爪を立てて、痛みで何とか意識を保つ。

 そうして、ようやく、見覚えのある姿を見つけた。

「マ、スター……」

 

 

 ──戦士として、多くの死を見た。数えきれないほどの、無残な死体を見た。あらゆる力を失おうとも──その記憶だけは、消えることはない。

 ……その記憶が、「これは助からない傷だ」と結論付けた。

「アル、ジュナ……そこに、いるの……?」

 崩れる様に膝をつく。焦点の合わない目がさまよう。枯れ枝のようにふらふらと伸ばされる手を、とっさに握った。

「……はい。ここに、います」

「……よかった……いき、てて」

 触れただけでは反応はなく、軋むほどに手を握って、ようやくマスターはかすかに指を曲げた。血と傷でどろどろの顔が、わずかに緩んだ。腕を伝う血は脈打ち、炎で炙られた体はすこぶる熱いのに、底冷えのする何かがマスターの中にあった。

「て、がみ……マシュ、に……ねが……?」

「……届けます、届けますから…………」

 どうか、死なないで。喉元まで出かかった言葉を飲み込む。言ったところで、マスターの死は揺るがない。……すべての力を失った私に傷を癒す力はない、痛みを和らげる力もない。それなのに、死なないでほしいと言うのは──どうにもならない死を待つマスターに、叶えられない望みを押し付けて、悲しませるだけだと思った。

 

 

「ご、め…………アル……おいて……く……」

「いいえ……いいえ。あやまらないで、マスター」

 私は、あなたと旅ができて、未来を思い描くことができて……それだけでも、幸せでした。そう告げると、マスターは笑うように息を吸った。

「どうか……いきて、たびを……」

 か細い声が告げる。マスターが目を閉じ、深く深く息を吐いて……動かなくなった。温度が消える。血だまりはただだらだらと無秩序に広がっていく。しばらく手を握り跪いたまま、動けなかった。

 炎に巻かれ、立ち上がろうとして、足に力が入らず転んだ。それでも──それでも、私の死の気配は、遠く。

 ……。

「は、はは。はははははは──!」

 マスターの横にあおむけに倒れ、私は動く片腕で目元を覆う。

 愚かしい。愚かしい。私は、なんて愚かしい──。

 

 

 私はすべての力を失った! 戦士としての力も、サーヴァントとしての力も!

 そう、力「は」失った! 私には、ただの人間としての力と──「私の力ではない」神々からの祝福が残ったのだ!

 生者ではない、死者の影に過ぎないサーヴァント・アルジュナにすら祝福をくださる神々が──そのアルジュナが再び生者となったからと言って、どうしてその祝福を断ち切ろうか。

 わかっていたはずだった。わかっていたはずだったのに! 神を人の道理ではかることに、何の意味もないことに!

「は。ははは。──生き、なければ」

 目を閉じる。眠ったとて、私に死は近寄らまい。

 ……マスターの最期の言葉。

 与えられたこの生を終えるまで、きっと、私は、何度でもその言葉を思い返すのだろう。

エンド1-B

しゅくふく、さいわい、そしてのろい

 

 

 

 

520/02/11()23:41:02No.662434623

こんな世界に守る価値があるのか?

 

 

 

620/02/11()23:41:12No.662434679

ちゃんと死体残ってんの…?

 

 

 

20/02/11()23:42:38No.662435085

「」シュが立ち上がったのでハッピーエンドガアね

 

 

 

20/02/11()23:42:53No.662435156

手紙書いてる所を受肉サーヴァントに見つかって

自分が守るからそんなことにはさせないって言われたりしてるんだ…

 

 

 

20/02/11()23:43:00No.662435185

墜落はまあうん…一部くらいなら残るよ…

サーヴァントとがっちり握り合ってた手だけ残ってるとか

 

 

 

20/02/11()23:43:31No.662435339

どう曲解してもビターエンドが関の山だろ!

 

 

 

20/02/11()23:43:52No.662435445

ここの二大怪文書題材が合体したんだベストマッチに決まってる……これからどんどん「」シュが曇っていくだろうな

 

 

 

20/02/11()23:44:10No.662435535

差分は力尽きたので今日は1つで許してほしいガアね…

 

 

 

20/02/11()23:44:44No.662435703

>差分は力尽きたので今日は1つで許してほしいガアね…

これ以上こんなん喰らったら胃もたれ起こすわ!

 

 

 

20/02/11()23:44:25No.662435605

この背景で「」シュがハッピーになることはないという嫌な確信がある

 

 

 

20/02/11()23:44:26No.662435611

このマシュ剣最終回みたいに先輩の幻覚みてもう先輩は…しそう

 

 

 

20/02/11()23:45:10No.662435828

所長はこういう時泣くよなぁ...

 

 

 

20/02/11()23:45:46No.662436001

これのアルジュナエンド差分だけで3パターンくらい来てるし「」どんだけアルジュナ曇らせたいんだよ…

 

 

 

20/02/11()23:46:00No.662436077

バッドエンドは殺してそこで終わり+αだからグッドエンド書くよりお手軽だしな…

 

 

 

20/02/11()23:46:23No.662436219

>墜落の報を聞いたマシュの反応が楽しみですね...

今回はハッピーエンドなので控えめガア

>二人で死んだだけ有情かもしれん

>ここでサーヴァントだけ生き残ったら修羅になるわ

生き残るルート書いてみたガア

今日は1つしかなくてごめんガア

 

 

 

20/02/11()23:46:37No.662436284

さては15年くらい前のエロゲとかによくあるトゥルーエンド(ハッピーとは言ってない)みたいな奴が好きだろテメー

 

 

 

20/02/11()23:47:27No.662436530

救いは…救いはないんですか…

 

 

 

20/02/11()23:47:55No.662436659

>マシュじゃなくて「」シュなのかよ

>一体何者なんだ

生きている人間であることに無意識に胡座かいちゃって受肉したサーヴァントに先輩持ってかれちゃう「」シュ

言わなくても伝わるだろうとホップに何も言わなかったらホップと道違えちゃった「」ウリ

 

 

 

20/02/11()23:48:22No.662436774

先輩を生き返らそうとするマシュ…

これが最後の異聞帯ですか

 

 

 

20/02/11()23:49:43No.662437139

「」ーマーガアはさぁ…最後にハッピーエンドが待ってるからこそ曇らせが輝くみたいなことは思ってくれないひと…?

 

 

 

20/02/11()23:51:01No.662437533

>「」ーマーガアはさぁ…最後にハッピーエンドが待ってるからこそ曇らせが輝くみたいなことは思ってくれないひと…?

最後にハッピーエンドがあるから過程の曇らせはどんどんするガア

道中ドン底だとハッピーエンドが煌めくガア…美しいガアね…

 

 

 

20/02/11()23:53:31No.662438283

>「」ーマーガアはさぁ…最後にハッピーエンドが待ってるからこそ曇らせが輝くみたいなことは思ってくれないひと…?

ハッピーエンドでなくとも悲劇に区切りをつけてそれでもなお立ち上がる人間は美しいガァ…

 

 

 

20/02/11()23:51:22No.662437649

アーマーガアはいったいなんなの…

 

 

 

20/02/11()23:51:31No.662437696

ハーピーエンド後の曇らせはいいな…

直前の光の強さを感じ取れて曇りが輝いて見える

 

 

 

20/02/11()23:52:02No.662437848

靖子みたいな事言ってて怖い…

 

 

 

20/02/11()23:52:12No.662437899

完璧とか純白の存在ほど一つの傷で価値が無くなるからな

 

 

 

20/02/11()23:53:21No.662438225

俺の知ってるハッピーエンドと定義が違う気がしてきた

 

 

 

20/02/11()23:53:59No.662438416

>泣き枯れた声が、帰ってくるのかねと小さく問うた。

所長も泣いてくれたんだな...

 

 

 

220/02/11()23:54:51No.662438676

むしろあの所長なら声上げて大号泣しそう

 

 

 

20/02/11()23:55:05No.662438753

なんか違ったガア

100のバッドエンドを経た後の1ハッピーエンドの煌めきは美しいガアね?

 

 

 

20/02/11()23:55:51No.662438970

>なんか違ったガア

>100のバッドエンドを経た後の1ハッピーエンドの煌めきは美しいガアね?

1ハッピーエンド後の100バッドエンドお出しされたらダメージ凄いんですけど!

 

 

 

20/02/11()23:56:20No.662439115

>100のバッドエンドを経た後の1ハッピーエンドの煌めきは美しいガアね?

奇跡的な条件をクリアした末の産物だって分かるからな…

 

 

 

20/02/11()23:56:20No.662439118

命削って自分の世界を二度救ってやっと平穏を手に入れた部下があっさりと死んだ

 

 

 

20/02/11()23:57:24No.662439433

>命削って自分の世界を二度救ってやっと平穏を手に入れた部下があっさりと死んだ

しかも就任直後の直々の命の恩人だしな…無力感凄そう

 

 

 

20/02/11()23:58:52No.662439841

一分一秒が愛おしい

あなたがいた世界に私も生きてる

 

 

 

20/02/11()23:59:37No.662440046

これが逆光か…

 

 

 

20/02/12()00:00:13No.662440255

こういう時サーヴァント一緒にいたらおかしくなっちゃったりするのだろうか

丈夫な分自分だけ助かったり

 

 

 

20/02/12()00:00:15No.662440267

えーっと既に怪文書書いたのがこのアーマーガアと「」シュ「」ウリの遭遇書いたのとアルジュナ書いたのの三人いるんだよね?

……生まれたの昨日だよね?

 

 

 

20/02/12()00:00:57No.662440484

いいですよね

相手は男だしどれだけ親密になろうとも最後に隣に居るのは女の私だと思ってたらホモに先輩持ってかれる「」シュ…

 

 

 

20/02/12()00:04:13No.662441487

>いいですよね

>相手は男だしどれだけ親密になろうとも最後に隣に居るのは女の私だと思ってたらホモに先輩持ってかれる「」シュ…

カルデアの鯖のバイ率からみてマスターがそっちに行っても本当可笑しくないからな

 

 

 

20/02/12()00:03:44No.662441336

実際皆心の整理できてるなら割と良いエンドではある

 

 

 

20/02/12()00:03:57No.662441406

普通に所長が泣きまくった後の様子で涙出た

 

 

 

20/02/12()00:05:03No.662441736

所長は「」に愛されすぎ

これで死んだらうn…

 

 

 

20/02/12()00:05:37No.662441890

>所長は「」に愛されすぎ

>これで死んだらうn…

なるほど

 

 

 

20/02/12()00:06:39No.662442173

>>所長は「」に愛されすぎ

>>これで死んだらうn…

>なるほど

やめろー!

 

 

 

20/02/12()00:05:51No.662441951

マイフレンドとぐだおの友情心中エンドとか辛すぎるだろ…

これから二人でバカやりながら自由に世界を旅するはずだったんだ…

 

 

 

20/02/12()00:11:39No.662443605

>マイフレンドとぐだおの友情心中エンドとか辛すぎるだろ…

マイフレンドは置いていきたいかもしれない

アトランティスとは逆に友人として遺言遺していくんだ…

 

 

 

20/02/12()00:17:11No.662445295

>マイフレンドは置いていきたいかもしれない

>アトランティスとは逆に友人として遺言遺していくんだ…

ぐだは基本いつも置いていかれる側だからな…

 

 

 

20/02/12()00:06:01No.662442009

FGOはぐだではなくマシュの物語なので

あらゆるエンドが許されると思うんだよね…

 

 

 

20/02/12()00:06:43No.662442192

飛行機乗る度先輩がどんな気持ちで死んでいったか想像するマシュか

 

 

 

20/02/12()00:08:57No.662442829

所長は不死鳥だからどんな苦難を与えてもいいんだ

 

 

 

20/02/12()00:10:11No.662443168

>所長は不死鳥だからどんな苦難を与えてもいいんだ

炎の中から一人だけ甦る不死鳥のゴルドルフ…

 

 

 

20/02/12()00:10:23No.662443227

所長が死んだらマシュより先にぐだが折れるのが目に見える

 

 

 

20/02/12()00:10:51No.662443368

所長に飛行機の操縦を覚えさせて凄いやるせない気分にさせよう

 

 

 

20/02/12()00:12:17No.662443798

事故で世間的に死んだだけ実は生きてるルートとかないの?

劇場版ナデシコみたいな感じでさぁ

 

 

 

20/02/12()00:12:47No.662443946

マシュに対してもアルジュナに対しても死に隊がいるのがひどい

 

 

 

20/02/12()00:13:17No.662444075

この展開だとマシュの中では先輩は理想の先輩のまま綺麗な思い出になってるな

逆にぐだだけ生き残って折れた心のまま喪ったサーヴァントへの想いに囚われて壊れていく様子を隣で見続ける「」シュとかどうです?

 

 

 

20/02/12()00:15:09No.662444629

生まれたのが昨日と言っても「」ウリだの夏休み特異点だの

怪文書バイタリティを滾らせてる「」ってめっちゃいるっぽいからな…

 

 

 

20/02/12()00:17:43No.662445455

マシュもアルジュナも好きガアよ

辛いことがあっても苦しいことがあってもきっと最後には立ち上がる人間ガア…美しいガア……

だから立ち上がるまでの過程はどんどん曇らせる

 

 

 

20/02/12()00:18:53No.662445801

ここに一人幸せになるべきなのに二度と立ち上がらない先輩が居るんですけど…

 

 

 

20/02/12()00:23:58No.662447324

設定や展開が固まる前に自分で怪文書を書くと自分の好きなキャラを曇らせられるからお得!

 

 

 

20/02/12()00:27:22No.662448297

一緒に死に隊もしくは置いて逝き隊英霊を自由に1人選んで妄想して

最後に事故の話を聞くマシュのシチュが整えばそれが「」シュスレになる