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19/09/13()23:24:46 No.622549209

夏の熱気もすっかり息を潜め、秋の訪れを知らせ始めたそんな頃。夜の縁側に一人腰掛け、涼やかな秋の風を浴びながら、空に浮かんだ月を見上げてお茶を飲む。傍らにはすすきとお団子が控え、一人静かなお月見と言ったところ。

「くぁ……あれ?こんな所で何やってんの、沖田さん」

声のした方を向くと寝間着姿のマスターが立っていた。察するに、お手洗いついでの散歩だろうか。足音にも気付かないなんて随分と気が緩んでしまっていたらしい。

「ああ、マスター。……見ての通り、お月見ですよ」

「お月見?てっきり、ノッブ達と済ませたものだと思ってたけど」

「勿論、いつもの面子で大騒ぎしましたとも。ですが、静かなお月見もまた乙なものと言いますか」

「そっか。……隣、いい?」

「ええ。お団子もいかがです?」

「ん、ありがと」

飾ったお団子とすすきを挟んで彼が腰掛けた。特段の会話もなく、お団子を食べながら揃って月を見上げる――ただそれだけの事なのに、胸が高鳴った。

 

 

 

19/09/13()23:25:40 No.622549465

どれくらいの間そうしていただろうか。次第に風が強まり、流れてきた雲が綺麗な月を隠してしまった。主役が居なくなってしまってはお月見を続けることは出来ず。用意しておいたお団子も食べ切ってしまったし、お開きには丁度頃合いでもあった。

「月に叢雲……。如何な中秋の名月とて、雲に阻まれればそれまでですね」

それでも、願わくばもうちょっとだけこの時間が――彼と二人きりの時間が続けばいいなぁ……なんて、過ぎた願いが頭をよぎってしまう。

「仕方ないよ。流石に大自然に逆らえる訳もないし」

「ですよね。……ジェットがあれば雲の上まで飛んで行けたんですけど」

「雲の上かぁ……綺麗だろうなぁ。来年は行ってみたいな」

「!で、でしたら来年は、ジェットな沖田さんがお連れしますとも!」

「うん。楽しみにしてるよ」

そう言って優しい笑顔――ずるい。彼の笑顔を見るだけで、胸の奥が温かくなって、つられてこちらも笑ってしまう。

 

 

 

19/09/13()23:26:31 No.622549720

「本当は来年と言わずに今からお連れできたら良いんですけどね……。必要な時に無いなんて酷い話ですよ、全くっ」

夏が終わり水着姿でなくなった時、ジェットもまた消えていた。XXさんに聞いてみても、夏だけの魔力がどうのこうのとまるで要領を得ない。……ぐだぐだ組も大概だが、サーヴァントユニヴァースとはそういうものなのだろうか。

「あはは……まあ、ジェットが無事に取れて良かったじゃん」

「それはそうなんですけど――」

「それに、水着姿も良かったけど、やっぱり今の沖田さんの方が好きだな。可愛いし、綺麗だし、一緒にいて落ち着くし」

「――っ!」

不意打ちはずるい。本当にずるい。ただでさえ耐性も無いのに、その上不意打ちだなんて……特に深い意味は無いと分かっていても、否応無しに顔が熱くなる。

「……ま、またまたー!そうやってからかってるんでしょう?沖田さんにはバレバレですからねっ」

「いいや?別に、からかった訳じゃ無いけど」

「……え?」

「ふあぁ……ごめん、そろそろ寝るよ。おやすみ」

「あ、はい……お休みなさい……」

 

 

 

19/09/13()23:27:06 No.622549905

「――そうそう」

すたすたと足早に去って行くその背中が、ピタリと止まる。くるりと振り返った彼の照れたような笑顔は、たまたま顔を覗かせた月光に照らされていつもより眩しく見えた。

 

「『月が綺麗ですね』」

 

「へ……?」

「……じゃあね、また明日」

一人残された縁側で、先ほどのやりとりと、それから最後に残された言葉を反芻する。

「…………???」

訳も分からず火照った頬を、秋の涼やかな風が撫でて行った。

 

 

 

19/09/13()23:31:58 No.622551335

後で調べて真っ赤になってほしいんだろうけど変化球を放るマスターだな

 

 

 

19/09/13()23:32:12 No.622551406

このマスターはなかなか趣深い告白をする...

 

 

 

19/09/13()23:45:31 No.622555230

この後みんなに言葉の意味聴きまくって勘違いされる沖田さん

 

 

 

19/09/14()00:19:01 No.622564364

まっとうにイチャつきやがって…

もっとやれ

 

 

 

19/09/14()00:20:27 No.622564745

水着Jさんに絆4で浜辺で手を繋ごうとか言ってるからなマスター…