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19/08/20()00:55:34 No.616155359

【夏休み怪文書】

 

チラリと腕時計を見る。日はまだ高いが、待ってるだけの時間はとても長く感じる。勤務を終えたスルーズを待って2時間、女の子は時間がかかるものだと相場が決まっている。それは神話に出てくる戦乙女でも変わりはないのだろう。休憩中のシグルドから自伝を語られながらオルトリンデの出してくれた麦茶を一口飲む。冷たくすっきりとしたのど越しは夏の暑さに負けない涼しさをもたらしてくれた。

 

「おまたせいたしました。マスター」

 

そう言ってスルーズが襖を開けて入ってきた。白いワンピースにつばの広い帽子を胸に抱えて恥ずかしそうに少し頬を赤らめた彼女は、少し化粧をしていた。

化粧は女の武器というが、なるほどスルーズみたいな美少女がメイクをすると世の男たちが黙っていないような可憐さがある。

きれいだよ。そう声をかけると彼女は一層頬を赤らめ、帽子で顔を隠してしまった。

そんな様子を眺めながら笑うヒルド、ブリュンヒルデ、シグルド。ちょっと不機嫌そうなオルトリンデ達に見送られながらマスターとスルーズはドルセントマートに出かけた。

 

 

 

19/08/20()00:56:06 No.616155467

女の子と買い物に行くときは男がリードするものだ。そう言ったのはエミヤかロビンかクーフーリンか・・スルーズと二人きりになるとマスターは自然と右手を彼女に差し出し、スルーズも恥ずかしそうに手を取った。

少し力を入れれば折れてしまいそうな花のように細く、雪のような肌にすらりと伸びた手足は北国の出身だからだろうか陽光に照らされて一層白く見えた。羽をあしらった帽子は彼女の顔に影を作ってしまったが、きらりと光る赤い瞳はマスターから逸れずまっすぐ見つめている。

それにマスターが気づけば彼女はさっと顔をそむけてしまうだろうが、そんな少女の動作もマスターにとっては愛おしい仕草だ。

 

 

 

 

19/08/20()00:56:25 No.616155548

ドルセントマートについた彼らは遅めの食事をとった。巨大なショッピングモールの体裁をとっているドルセントマートはなるほどマスターが借りている宿屋周辺の商店街からしたら目の上のたん瘤だろう。だが、人間というものは楽をする生き物であると誰かが言ったように便利になればなるほど古いものは淘汰されてしまう。

とはいえ、今回の目的は日本の伝統的な衣装である浴衣だ。このドルセントマートにももちろん呉服屋は入っており、その品ぞろえは商店街のものよりも多岐にわたる。

とはいえ腹が減っては戦はできぬと、マスターとスルーズはバーガーショップへ足を運んだ。

 

 

 

19/08/20()00:56:43 No.616155628

ちらりとマスターの顔をうかがう。いつものでいいと言ったにもかかわらず、ヒルドとお姉さまの圧に負け、こんなひらひらした衣装まで着せられてしまった。たしかにいつもの霊衣ではコルセットの部分がきつく、周りの目にも止まりやすくなってしまいますが、あれはあれで気に入っているのに・・。

マスターと入ったお店は【ばーがー】という食べ物を売っていた。高カロリー高脂肪、ジャンクフードの極み、黒のセイバーやメイドのライダー、銃のアサシンもよく食べているが、健康を考えるとあまりマスターには食べてほしくないものだ。

 

 

 

19/08/20()00:57:07 No.616155699

「一口いる?」

 

私が彼を見ているのに気付いたのか、マスタ-はそんなことを言いながらストローの刺さった紙コップをこちらに向ける。【ふらっぺ】といったか、暑い日にはもってこいの食べ物だ。差し出されたものを無碍にするわけにもいかず、恥ずかしさを押し込んで一口吸う。シャリシャリとした食感に口に広がるイチゴの風味。意外と子供舌なのだろうかと考えているとマスターがこちらを見ていることに気が付いた。

恥ずかしくなってほとんど飲み終えてしまっているジュースをズズッと飲むふりをしながら横目で彼を見る。まるで愛しいものを見るような彼の瞳はまっすぐに私を見ていた。

 

 

 

19/08/20()00:57:21 No.616155755

腹ごしらえを済ませるとマスターは私の手を引いて目的の呉服屋に向かった。

 

「いらっしゃ・・なんだマスターですか。やっとこさこの特異点にこれたというのにもう夏も終わりかけ、ひと夏のアバンチュールなんて陽炎のようにはかないものだったんですけど、そちらはうまくゲットできたんですね~くぅ~うらやましくなんてないんですからね!

まぁ、いいです。今回のワタクシの役目はあくまでも『呉服屋の店主』、日系サーバントとしてグレートでレボリューションなお召し物をご用意させていただきますね。

 

さてさて、そちらのお連れのお嬢様はご要望はありますか?」

 

 

 

19/08/20()00:57:40 No.616155820

マシンガントークというのはこういうのを言うんだろうと思えるほど饒舌な自称良妻系サーバントの彼女は私にそう質問した。正直一着ある私にとってこれといった要望はない。ただ、同じものを二つ買っても仕方がないので、持っている浴衣のデザインを伝え、それ以外で私に似合いそうなものを頼んだ。

 

「なるほど、黒地に桔梗の絵柄が入った浴衣をお持ちと・・それでしたら・・これなんてどうでしょう?桃地に色とりどりな花柄。オススメですよ?」

 

女の子同士のほうがいい。と呉服屋の店主がマスターに伝え、マスターには申し訳ないですが、いったん外で待っていただき、彼女はまるで子供の様に次々と柄や色が異なる浴衣を持ってきました。

彼女が最初に持ってきたのは可愛らしい、それこそ少女が着るようなものだった。オルトリンデなら喜んで着てくれそうだが、私に似合うかと言われると、微妙なところだ。

 

 

 

19/08/20()00:57:53 No.616155868

「お気に召さない様子・・そういたしますと・・」

 

彼女は持ってきた浴衣から私の好みを割り出し、私が思ってもいなかった私が望む浴衣を持ってきました。

 

「これはいかがですか?白地に赤い椿柄、椿は冬に咲く花ですし、貴女に似合うと思いますよ?」

「そうですね・・ちょっと試着してもいいですか?」

「もちろん。ささ、こちらへどうぞ」

 

 

 

19/08/20()00:58:18 No.616155951

マスターに目線を送るとにっこりと笑って手を振ってくれた。着付けはさすが日系サーバントというべきか完璧に仕上げてもらいました。まるで自分のようで自分ではないような、そんな言葉に表せられないような感じです。

 

この浴衣が気に入った私が試着室から出るとマスターから奇麗だと言ってもらいました。

そのまま私達はこの浴衣を購入することに決め、マスターが会計を済ませている間、私が手持無沙汰になっていると、着付けをしてくれた彼女は次に丸く薄い陶器製の容器を手渡した。

 

「これは?」

「ふふ、紅ですよ。今度の夏祭りでマスターとデートするんでしょう?その時にぜひ使ってください。なんなら、それでマスターにマーキングしたっていいんですよ?」

 

その言葉に私の中でちょっとした欲望がにじみ出る。彼にはまだ見せていない方の浴衣も気に入ってくれるか彼の反応が楽しみだ。

 

 

 

19/08/20()00:58:30 No.616155993

スルーズとデートした。白い浴衣に身を包んだ彼女はまるで天女の様だった。ああ、夏祭りが待ち遠しい・・。

 

 

 

19/08/20()00:58:53 No.616156076

以上になります。ご清聴ありがとうございました

 

 

19/08/20()01:01:00 No.616156446

あと2.3話書いて、エピローグ(ファンディスク)書いて終わりです

 

スレを立てたらすぐッチーに登録するようにします。

 

 

 

19/08/20()01:17:00 No.616159171

ヒャッハー!新鮮なスルーズ怪文書だぜー!

個別エンドまで用意してるとか出来る奴だぜー!